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【分析を申し込むために】
3. イオン化法選択の参考に

質量分析で取り扱われるイオン化法は多種類あります.
当部門で取り扱うイオン化法は5種類.
研究目的に合わせて,化合物の性質に合わせて選択する必要があります.
お申込の際,イオン化法選択に迷われた場合には,下記をご一読の上,分析担当者へご相談ください.


なお、MALDIイオン化については,現在受託ではなくオープンファシリティ対応となっております.

  

イオン化方法 適している試料 主な検出ピーク 特徴
EI (Electron Ionization) 揮発性試料
熱に安定な試料

M+・
フラグメントイオン
  1. 通常70eV程度のエネルギーを持つ電子ビームと気体状態の試料分子との相互作用によりイオン化を行う.
  2. ほとんどすべての揮発性化合物に有効.
  3. 揮発性の高い試料は,GCによる試料導入を利用.
  4. フラグメントイオンピークが検出されるため,スペクトルから構造解析を行う事ができる.
  5. 分子イオンピークが小さいか,現れないこともある.
  6. [M-H]+・フラグメントが生じる化合物の場合,[M-H]+・フラグメントの同位体ピークがM+・ピークと重なってくるため,M+・での精密質量測定ができない(測定値の意味づけが難しい)場合がある.
  7. 場合により,12eV程度までイオン化エネルギーを下げて分子イオンピークの相対強度を高めるような測定を試みる.(低エネルギーEIイオン化法)
ESI (ElectroSpray Ionization) 高極性試料
不揮発性試料
高分子量試料
M+
[M+H]+
[M+Na]+
[M+nH]n+
[M+nNa]n+
M-
[M-H]-
[M+Cl]-
[M-nH]n-など
複数分子によるクラスターイオンが生じることも多い
  1. 高電圧をかけたキャピラリー先端から試料溶液を乾燥窒素ガスとともに噴霧し,イオン化する方法.
  2. 高極性,不揮発性,高分子量化合物の測定に適している.
  3. 無極性化合物には適してない.・・・
    (実際はEI,FABの適応範囲と重なるところも大きい。)
  4. ペプチド・タンパク質などの測定では,多価イオンが検出されそのピークをもとにデータ処理を行うと分子量を算出できる.
  5. 試料量がFAB/MSの1/1000程度で十分な感度が得られるため,試料が少量しかない場合も有効な場合あり.
  6. EI/MSでフラグメントイオンピークのみしか得られず, どうしても分子イオンピークの確認が必要なときにも有効な場合あり.
APCI (Atmospheric Pressure Chemical Ionization)

中極性試料

熱安定試料

[M+H]+
[M-H]-など
  1. コロナ放電により空気や溶媒をイオン化し,生成した反応イオンとのイオン分子反応(プロトン移動反応が多い)により試料分子をイオン化する.
  2. 比較的低分子に向く.
  3. 高温で噴霧するため,熱不安定試料には適さない.
  4. ESI/MSでイオン化しにくい場合,APCIによりイオン化する場合がある.
FD (Field Desorption), FI (Field Ionization) 低極性試料
構造不安定試料
 M+・
[M+H]+など
  1. 高電界による電子引き抜きによりイオン化する.
  2. 生成したイオンの分子内振動エネルギーが低く,フラグメントが生じにくい.
  3. ESI/MSでイオン化しない低極性化合物で,EIイオン化では揮発しなかったりフラグメント化してしまう化合物に適用する.
  4. 高分子ポリマーの分析に用いることがある.
MALDI (Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization) 不揮発性試料
高分子試料
 M+
[M+H]+
[M+Na]+
[M+Ag]+など
添加剤により変化
  1. マトリックスと呼ばれるイオン化を補助する試薬と混合した試料にレーザーを照射しイオン化する.
  2. サンプルの性状によりマトリックスを選択する必要がある.
  3. 低分子ではマトリックスのピークにより試料ピークの判読が難しくなる場合がある.また,揮発性化合物は測定開始までの減圧の過程で失われることがある.
  4. タンパク質,ペプチド,金属錯体,高分子ポリマーの分析にも用いることがある.
※FAB(Fast Atom Bombardment)
※現在は対応しておりません
難揮発性試料
熱に不安定でも可
[M+H]+
[M+Na]+
[M+Matrix+H]+
[2M+H]+
[M-H]-
[M-H]+
M- など
  1. 試料を溶媒に溶解し,グリセロールなどの液体Matrixと混合してターゲット上に塗り,この試料層にXeの高速中性粒子を直接衝撃することによってイオン化する方法.
  2. 難揮発性化合物,不安定性化合物, 高分子量化合物のイオン化が出来る.
  3. ただし,試料がある種の溶媒に溶解することが 必要.混濁したり分離していては,良いピークが得られない.
  4. 低m/z領域にMatrix由来のピークが多く見られるので,低分子量化合物の測定結果はスペクトル解析が困難になることもある.
  5. Matrixには Glycerol,Thioglycerol,TEA,DEA,m-NBA,NPOE などがある.
  6. 生成する分子種が多様であるため,解析する際には試料の性質や塩類の混入などを考慮し判断しなければならない.
  7. 負イオン測定でも,[M-H]-だけでなく,M-などがでることがある.