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【分析を申し込むために(有機元素分析)】
 3. CHN分析について

3-1. 分析の概要

【CHN同時分析装置の概略図】

genso_CHNCORDER.gif

 

当センターで使用している,CHN同時分析装置 (ジェイ・サイエンス MICRO CORDER JM10では
気体の熱伝導度を利用した,差動熱伝導度法により,C,H,Nを検出しています.
精秤した試料を,キャリヤーガス(He)と酸素ガスの中900~1000℃(電気炉)にて加熱分解し,水,
二酸化炭素, 窒素とし, 内容量150mlの混合管に集めて静置します.
この混合成分濃度は,試料中のH,C,Nに正確に対応しています.
検出器は,3対の熱伝導度セルからなっていて,検出成分を順次吸収除去していきます.
それぞれのセルのガス成分は,次のようになります.


第一対 入口側 He+H2O+CO2+N2 H2O成分を除去
出口側 He+CO2+N2  
第二対 入口側 He+CO2+N2 CO2成分を除去
出口側 He+N2  
第三対 入口側 He+N2  
出口側 He  

上記混合成分を検出器に送ると,第一対では水,第二対では二酸化炭素, 3対のセルの入り口と 出口での熱伝導度差を,最終的に,電圧差として検出しています.この電圧が,それぞれH,C,Nの含有量に対応します.

3-2.申込時のお願い

 

【試料量について】

  • 試料量はCHN分析で最低10mg必要です.液体試料は20mg以上必要です.       
  • また,S・ハロゲン分析を希望する場合は,原則的に1元素につきさらに10mgを必要とします.       
  • CHN分析, S・ハロゲン分析は, それぞれ測定日が異なります.
    試料の性質に合わせて, 試料容器を2つに分ける等して下さい.       
    その場合は2つの容器にそれぞれ受付No.を明記していただき, 申込時にその旨入力してください.       
    (その他の要望欄等自由記載欄をご利用ください.)例)試料を2個の容器に分けて提出します.等

    

【容器について】

  • 固体試料は採取しやすい容器(ミクロ試験管等)に入れ,栓をして提出して下さい

    (右図参照).tube_image.jpg

  • 試料を20mg以上ご提出できる方は, スクリュー管瓶も可能です. この場合, 蓋をきつめに閉めてください.
  • 光分解性等遮光が必要な試料は, 褐色瓶, 或いはアルミホイル等の脱着可能なもので瓶を覆う等の対策をしてください.
    秤量の際の数分間は, 遮光できませんのでご了承ください.
  • 液体試料および油状試料は,量が多く揮発性のない場合は,固体試料と同様にして下さい.
    揮発性のある場合は,密栓し, 冷蔵庫等提出場所もご考慮ください.
    (提出についての注意事項はこちらもご参照ください)


【試料の性質に関連して】

  • 液体試料を依頼される方は,使用器具洗浄のための溶媒を明記して下さい.
  • C,H,N,O,S,ハロゲン以外の元素を含んでいる試料の場合は,装置の汚損及び燃焼触媒の劣化により分析に影響しますので,必ず明記して下さるようお願い致します.
    本装置の経路に使用されている配管、Oリングを損傷し,データに変動を与える可能性のある元素(特に,F, Os, その他)を含有すると予想される場合は,必ず明記願います.
  • D含有試料のHのデータについては,分析担当者にお問い合わせください.
  • Hg含有試料は,受け付けておりません.
  • 分解性サンプルの分析依頼は,事前に電話等でご相談の上,予約願います.


【結果返却に関連して】

  • 分析依頼項目,提出試料の状態等によっては分析結果が遅れることがあります.
    結果を急ぐ方は, 分析終了予定日を分析担当者にご確認下さい.

3-3.残留物の測定を申込される方へ


当部門における「残留物」測定で得られる値は,CHN測定後に回収された燃焼残渣の重量測定値です. CHN測定後に回収されたボート内の残留物量を量るもので,単体で残る元素もありますが,多くの場合, 酸化物や,炭酸塩の状態で残り,また,キャリヤーガスに運ばれ,減量されることもあります. 定量性はなく,おおよそのものであることを,ご理解のうえご利用ください.

JM10は,横向きの燃焼炉へ水平に試料ボートを出し入れする横型であるため,測定後の燃焼残留物の有無が確認できます.
ただし,残留物が出る試料には装置汚染元素が含まれる,あるいは難燃性であることが多いため,基本的には汚染防止等のため(あるいは助燃剤として),添加剤(通常WO3粉末)をかけて測定を行なっています.
当部門での「残留物」とは,この残留物と添加剤が残ったボートをCHN測定後に再秤量し,風袋(ボート及び添加剤)重量を差し引くことにより「残留物」の重量を得るものです.
残留物測定作業は下記に示す通り一定の手順で行いますが,関連する変動要因が影響し,必ずしも再現性のある結果にはなりません.



【変動要因】

  • 燃焼炉から出した後の吸水量や放熱時間が,試料により異なる
  • 残留金属の酸化状態が一定とは限らない
  • 添加剤WO3(酸化タングステン(Ⅵ)粉末*)の量が一定ではない
  • 燃焼炉内の付着物が落ちるなど,測定前後で厳密に同じ状態であるとは限らない など

 

残留物の測定手順など

【測定手順】


①ボート秤量
②ボート上に試料を秤量する
③添加剤を加え秤量する
※添加量は一定ではなく,試料の表面を覆うようにおおよその量を添加しています
④CHN測定(950℃の燃焼炉に約4分間挿入)
⑤燃焼炉から出てきて約5分後に,試料ボートを再秤量する


【計算方法】


燃焼後総重量(⑤)ー ボート重量(①)-添加WO3重量(③-②)= 残留物重量(報告値)


変動が非常に大きい測定です(時にマイナス値となる場合もあります).
定量性はなく,おおよそのものであることを ご理解のうえ,ご利用ください.

残留物の測定例

標準試料での残留物重量測定結果  使用機器;JM10

キシダ化学 有機微量元素分析用標準物質 SP49
Iron(Ⅲ)acetylacetonate アセチルアセトン鉄(Ⅲ)
Fe(C5H7O2)3  化学式量=353.17  C:51.01 H:5.99 O:27.18 Fe:15.81
  (③ー②) ⑥=⑤-①-(③-②) ⑦=⑥/②
  Ptボート重量
(mg)

サンプル量
(mg)

サンプル+WO3量
(mg)
添加WO3量
(mg)
(燃焼) 燃焼後総重量
(mg)
残留物重量
(mg)
残留物/サンプル量×100
(W/W %)
1 1044.827 2.041 38.236 36.195   1081.346 0.324 15.87
2 1045.888 2.090 43.639 41.549   1087.818 0.381 18.23
3 1045.599 2.063 41.526 39.463   1085.453 0.391 18.95
4 1046.223 2.065 40.942 38.877   1085.483 0.383 18.55
5 1045.711 1.953 35.188 33.235   1079.256 0.310 15.87
6 1046.861 1.986 33.285 31.299   1078.512 0.352 17.72
7 1046.116 1.989 39.016 37.027   1083.425 0.282 14.18
8 1047.356 1.952 36.908 34.956   1082.631 0.319 16.34
  平均値             16.964
  標準偏差             1.655
  CV (%)             9.76

※いずれもCHN分析結果は±0.3%以内で問題なし