機器分析受託サービス
Instrumental Analysis Service
【CHN同時分析装置の概略図】
当センターで使用している,CHN同時分析装置 (ジェイ・サイエンス MICRO CORDER JM10では
気体の熱伝導度を利用した,差動熱伝導度法により,C,H,Nを検出しています.
精秤した試料を,キャリヤーガス(He)と酸素ガスの中900~1000℃(電気炉)にて加熱分解し,水,
二酸化炭素, 窒素とし, 内容量150mlの混合管に集めて静置します.
この混合成分濃度は,試料中のH,C,Nに正確に対応しています.
検出器は,3対の熱伝導度セルからなっていて,検出成分を順次吸収除去していきます.
それぞれのセルのガス成分は,次のようになります.
第一対 | 入口側 | He+H2O+CO2+N2 | H2O成分を除去 |
出口側 | He+CO2+N2 | ||
第二対 | 入口側 | He+CO2+N2 | CO2成分を除去 |
出口側 | He+N2 | ||
第三対 | 入口側 | He+N2 | |
出口側 | He |
上記混合成分を検出器に送ると,第一対では水,第二対では二酸化炭素, 3対のセルの入り口と 出口での熱伝導度差を,最終的に,電圧差として検出しています.この電圧が,それぞれH,C,Nの含有量に対応します.
【試料量について】
【容器について】
【試料の性質に関連して】
【結果返却に関連して】
当部門における「残留物」測定で得られる値は,CHN測定後に回収された燃焼残渣の重量測定値です.
CHN測定後に回収されたボート内の残留物量を量るもので,単体で残る元素もありますが,多くの場合,
酸化物や,炭酸塩の状態で残り,また,キャリヤーガスに運ばれ,減量されることもあります.
定量性はなく,おおよそのものであることを,ご理解のうえご利用ください.
JM10は,横向きの燃焼炉へ水平に試料ボートを出し入れする横型であるため,測定後の燃焼残留物の有無が確認できます.
ただし,残留物が出る試料には装置汚染元素が含まれる,あるいは難燃性であることが多いため,基本的には汚染防止等のため(あるいは助燃剤として),添加剤(通常WO3粉末)をかけて測定を行なっています.
当部門での「残留物」とは,この残留物と添加剤が残ったボートをCHN測定後に再秤量し,風袋(ボート及び添加剤)重量を差し引くことにより「残留物」の重量を得るものです.
残留物測定作業は下記に示す通り一定の手順で行いますが,関連する変動要因が影響し,必ずしも再現性のある結果にはなりません.
【変動要因】
【測定手順】
①ボート秤量
②ボート上に試料を秤量する
③添加剤を加え秤量する
※添加量は一定ではなく,試料の表面を覆うようにおおよその量を添加しています
④CHN測定(950℃の燃焼炉に約4分間挿入)
⑤燃焼炉から出てきて約5分後に,試料ボートを再秤量する
【計算方法】
燃焼後総重量(⑤)ー ボート重量(①)-添加WO3重量(③-②)= 残留物重量(報告値)
変動が非常に大きい測定です(時にマイナス値となる場合もあります).
定量性はなく,おおよそのものであることを
ご理解のうえ,ご利用ください.
標準試料での残留物重量測定結果 使用機器;JM10
キシダ化学 有機微量元素分析用標準物質 SP49 Iron(Ⅲ)acetylacetonate アセチルアセトン鉄(Ⅲ) Fe(C5H7O2)3 化学式量=353.17 C:51.01 H:5.99 O:27.18 Fe:15.81 |
① | ② | ③ | (③ー②) | ④ | ⑤ | ⑥=⑤-①-(③-②) | ⑦=⑥/② | |
Ptボート重量 (mg) |
サンプル量 |
サンプル+WO3量 (mg) |
添加WO3量 (mg) |
(燃焼) | 燃焼後総重量 (mg) |
残留物重量 (mg) |
残留物/サンプル量×100 (W/W %) |
|
1 | 1044.827 | 2.041 | 38.236 | 36.195 | 1081.346 | 0.324 | 15.87 | |
2 | 1045.888 | 2.090 | 43.639 | 41.549 | 1087.818 | 0.381 | 18.23 | |
3 | 1045.599 | 2.063 | 41.526 | 39.463 | 1085.453 | 0.391 | 18.95 | |
4 | 1046.223 | 2.065 | 40.942 | 38.877 | 1085.483 | 0.383 | 18.55 | |
5 | 1045.711 | 1.953 | 35.188 | 33.235 | 1079.256 | 0.310 | 15.87 | |
6 | 1046.861 | 1.986 | 33.285 | 31.299 | 1078.512 | 0.352 | 17.72 | |
7 | 1046.116 | 1.989 | 39.016 | 37.027 | 1083.425 | 0.282 | 14.18 | |
8 | 1047.356 | 1.952 | 36.908 | 34.956 | 1082.631 | 0.319 | 16.34 | |
平均値 | 16.964 | |||||||
標準偏差 | 1.655 | |||||||
CV (%) | 9.76 |
※いずれもCHN分析結果は±0.3%以内で問題なし
© 2017 - All Rights Reserved - 北海道大学グローバルファシリティセンター